白銀の並木道・裏通り

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~第十一話 しろいねこのおはなし~

―――白い猫がいました。
誰からも好かれ、この街では知らない人は一人としていません。

その白い猫は、今はもう寂れてしまった街から、移住した人と一緒に付いて来た猫の子孫なのだといいます。

猫はいつも歌を歌い、舞う様に踊り、時には演劇に出たり、困ってる人たちに見返りを求める事も無く助けに向かったり、みんなに笑っていて欲しいと、様々な事をしていました。

その猫が、街からちょっと出かけた時にあるテレビに映りました。
人々はその時初めて見た猫が可愛いと褒め、ある人はこの猫のぬいぐるみが欲しいと。ある人はこの猫のアクセサリーが欲しいと。またある人は歌を歌って欲しいと望みました。

その事を羨ましいと思った猫そっくりなネコがいました。

そのそっくりなネコがを見て、「これは儲かるかもしれない」と思った女の人がいました。

その女の人はそっくりなネコにある事を伝えました。

自分の街に帰ってきた猫に、そのそっくりなネコが「きみはあっちの街でも大人気、でもきみはここの街の猫だからここの街に居たほうがいいよ。
あっちの街にはかわりにぼくが行ってくるから」と、そっくりなネコが言いました。

そっくりなネコは猫のかわりに歌いました。
猫がいつも歌っていた海の向こうの失恋の歌を、面白おかしく聞こえるように歌いました。

軽快なリズムのその歌の、あるフレーズが陽気な気分にさせてくれると、そっくりなネコはたちまち有名になりました。

その様子を見ていた猫の住む街の人々は「あの猫の歌じゃあないじゃないか!」と怒りました。

しかしその街の住民の声を、誰一人として聞きはしません。

「あの歌は私が一から作った、全くのオリジナルで御座います。」

そっくりなネコにアドバイスをした女の人が、悠然とした態度で言い放ちます。

そっくりなネコをみている人は可愛ければ、面白ければどちらでも構わないと言うのです。

その日からそっくりなネコは「のまネコ」と名前を変えて、歌のフレーズに合わせて一気に酒を煽りました。

見ていた人達はこぞってそれを真似て、一緒に踊り明かしました。

中にはその無茶な踊りで倒れる人、そのまま酒に溺れる人。

そのまま帰らぬ人も、中には居たかも知れませんが、笑い声の混雑の中ではわかりません。

被害にあった人達は、深く悲しみました。
猫の街住民は、自分達の家族同然の猫が悪い事をしてしまった様に思えて酷く悲しみました。

女の取った態度にも、物を創る人としての志にも。
あの、人を悲しませる、猫にそっくりなネコの事にも。

猫もその様子を横目で見ていました。

自分が、人気者になったネコに間違われて「のまネコめ、なんてことをしてくれたんだ」と石を投げつけられても、「金が手に入れば何をしてもいいのか」と罵られても。


いつしか、ネコの事も忘れられ、猫も独りぼっちになってしまいました。


「金にならないのなら、もう用済みだ」と言われ、のまネコであることに疲れた猫そっくりなネコは、猫の所へ帰りました。

両手にわずかながら、街から帰る時に受け取った何か光る物を抱えて。

猫は、何時もと何も変わらぬ様子で、何時もの街の、何時もの場所でに歌っていました。

猫には、小さな小さな誇りがありました。

「たとえ名前を失くしたとしてもとしても、僕は僕だ。」

猫は、のまネコと名乗った友人を責めませんでした。

「僕は僕の歌を歌い続けるよ、たとえいくら模倣されても一番大切な物は、インスパイヤじゃ奪い取れないモナ。」

猫は、小さくても、良く通る声で歌いました。

「其は何処にでもある失恋の話、菩提樹の木の下で、別れし君は遠き異国に旅立てり。」

いつもとは少しだけ違う歌を。

「いつかあなたのその胸に、きっと僕は帰るから

 だから今は許して欲しい、君の胸を傷つけた事

 あなたのそばに居たいから 僕は再び歩き出す

 其はどこにでもある再会の話、菩提樹の木の下で、別れし君を抱きしめるから

 いつかあなたをこの胸に、強く強く抱きしめるから

 だから待っていて欲しい、再びまみえるその日まで

 菩提樹の下の甘き恋よ、いつか二人で帰るから

 再び花咲くその日まで、甘く儚く散る恋よ

 甘く儚く散る恋よ、再び花を咲かせん事を」



猫はそう歌い終えると静かに目を閉じました。

のまネコの頭を撫でながら、洩らす様に呟きます。

「僕はね、みんなの笑顔が見たかっただけなんだ。お金とか、有名になりたいとかじゃなくて。
だからきっと、みんなは僕の事を好いてくれたんだと思うんだ。」

そっくりなネコは頭を撫でられたまま、俯きました。

「涙が似合う奴なんて、どこにも居ちゃいけないんだ。僕は、いつかみんなで、心の底から笑いあいたかったんだ。」

そう言うと、猫の手は頬を撫でながら離れ、猫の体は地面へと倒れてしまいました。

「―――!」

両手に持っていた光る物を投げ、倒れた猫を抱えました。

この時初めて、そっくりなネコは猫の名前を知らない事に気が付きました。

そっくりなネコは助けを求めて鳴きました。

「誰か!こんなものなんて要らないから彼を助けてよ!誰か!ねえ!誰か!」

その時です、静まり返って、誰も居ないと思っていたのに街の人達が集まってきました。

「いつもの歌と違うのが聞こえてきたと思ったら……奴が倒れてるじゃないか!」

「おい、誰か毛布とお湯持ってこい、あと医者だ医者!」

ただの猫一匹の為に、街全体の住民が慌しく駆け回ります。

他の街からみれば、恐らく滑稽にも映る事でしょう。

猫はかなり衰弱していました。

それでも住民は、絶対に諦めませんでした。

その猫は、住民にとってもかけがえのないものだったからです。

「しっかりしろ、お前が倒れたら……悲しむ奴が増えちまうぞ、お前が嫌いな涙が、また増えちまうんだぞ!」

そっくりなネコは叫びます

名前も知らない、かけがえのない友人の為に。

「…………あれ……みんな……なんで……?」

ネコの叫びが通じたのか、住民の祈りが届いたのか、猫は目を覚ましました。

「目ぇ醒めたか、……心配させやがって。」

住民達も、猫が元気になったとよろこびました。

「そっか……ありがとう、みんな。」

猫は住民達に、ベッドに寝たまま頭を下げました。

「ところでさ、訊きそびれてたんだけれど君の名ま」
「さて、あとはお前の名前をあの糞企業から取り戻すだけだな。」

「そうだな、一刻も早くこいつの汚名を晴らしてやらんと。」

「こいつも目を覚ました事だ、早速再開するか。なあ、みんな。」

街の住民達は、猫に一言二言、労わりの言葉をかけてから自分達の仕事に戻っていきました。

「……僕の名前は、あの時なくなってしまったんだ。」

「あの時?」

「きみがテレビに映った時、きみを追いかけてこの街に来た人達が僕のことをのまネコと呼んでいった。昔の名前で呼んでくれる人は、昔の僕を知っている人達だけになってしまったんだ。」

猫は、そっくりなネコに顔を見られない様に反対側を向いた。

「それは、…………。」

「きみは悪くないよ、何にも。前にも言ったよね、僕は名前がなくなっても僕のままだって。」

「でも……俺は……。」

「大丈夫、みんなが僕の名前をきっと取り返してくれるって、信じてるから。僕には歌うことしかできないけれど、みんなの努力を信じてるから。」

「…………ごめんね、本当に。必ず名前は返すから、待ってて欲しい。」

「うん、待ってるよ。」

「……ところで、きみの本当の名前を訊かせてくれないか。僕はきみの事をまだ、何も知らないんだ。」

そっくりなネコの方にゆっくり顔を向けて、優しく微笑んだ。

「……僕はね、モナーって言うんだ。」


このおはなしは大部分がフィクションです。
ですがこの問題は現実ではまだ終わっておりません
問題解決の為に皆様のご協力を、どうか宜しくお願いします。
のまネコ問題まとめ

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  1. 2005/12/24(土) 05:49:05|
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